ネットショップの撮影現場

ネットショップには欠かせない商品写真。
商品撮影の現場をご紹介いたします。

商品写真どっとコム、フォトグラファーの表(おもて)です。
商品写真はネットショップにとって「お見合い写真」ともいえる重要な要素です。
ネットショッピングにおいては、お客様は、同じ商品でもきれいな写真を使用しているサイトから購入します。
ですから売り上げアップに直結する商品写真には十分な配慮が望まれます。
最近は、Amazonや楽天などのサイトでもきれいな商品写真の要求度が高まっています。

そこでここでは、プロの商品撮影の現場をご紹介いたします。
少々難しい点もございますが、商品撮影のノウハウを少しでもご理解いただき、
お客様がご自分で商品撮影をする場合のヒントになれば幸いです。
今回はサンプルとしてシェルのネックレスを被写体にいたしました。

目次

1,商品撮影の撮影セットをご紹介

まずは、弊社が小物の商品撮影で使用している撮影セットをご紹介いたします。

小物の商品撮影で使用している撮影セットをご紹介
弊社の小物用撮影台は、厚い半透明(乳白)のアクリル板をSの字に曲げた作りになっています。
半透明ですので光が透過するようになっており、下に照明を3灯体設置してあります。
この照明を使用しますと背景が明るくなり、白く飛ばすことができます。
白い物を撮影するときも背景を飛ばすことで商品が背景に溶け込まないように写すことができます。

また、化粧品や酒瓶のようなボトルの撮影では、透明感を出すには欠かせないバックライトになります。
カメラはニコンの一眼レフ、レンズは200~300ミリなどの焦点距離の長いものを使用し被写体との距離をとることが多いです。
三脚はアングルが構えやすいドリー付のポールタイプを使用しています。
照明は、コメットというメーカーのストロボを使用しております。

ストロボは、強い閃光を出すフラッシュです。LEDランプのような定常光ではありません。
光量も調節できますのでカメラのISO感度と組合せることによって、幅広い絞り値での撮影が可能です。
少ない光量に調整するとレンズを解放に近い絞り値で撮影でき、背景をぼかすことができます。
反対に大光量にしますと、絞りをF36など小さく絞れますので全体的にピントの合った仕上がりにできます。

この撮影セットは、被写体に合わせ最大6灯体のストロボを同時に発光できるようになっています。
撮影台の両サイドにはディフューザー(光を拡散する薄い幕)を天井から吊り、必要に応じて降ろして使用します。
この幕を被写体と灯体の間に入れる事で光の質を柔らかくコントロールします。

2,商品撮影のポイント「光」をコントロール

それでは、早速撮影に入ります。
まずは、今回の被写体となるネックレスを窓際の自然光で撮影しました。

ネックレスを窓際の自然光で撮影
下の写真がこの写真を撮影した環境です。

写真を撮影した環境

この場所でカメラのオート撮影をしますと上の写真のように薄暗く写ってしまいます。
これは下地を白いボードで撮影したため、カメラの露出計がこの場所を実際より明るい環境であると判断してしまい、全体が暗くなるように自動設定されてしまったためです。

また、日陰の自然光は色温度が高いため青みをかぶってしまい、色あいも現物に忠実になりません。
これでは、ネットショップで売れる写真にならないのは明らかです。

次に、弊社の撮影セットで撮影をいたしました。

弊社の撮影セットで撮影

商品を最もわかりやすく紹介する写真です。ネットショップに使用するような代表的な写真です。
撮影台の下からの照明により背景を白く飛ばし、Amazonなどの白背景で使用することを前提とした撮影です。
背景からの照明を使用しますとやや平面的な仕上がりになります。

次に、ネットショップでは商品の詳細を紹介する必要があるためアップの商品撮影も行いました。

ネットショップでは商品の詳細を紹介する必要があるためアップの商品撮影

ネットショップでは商品の詳細を紹介する必要があるためアップの商品撮影

この商品撮影の撮影風景は、以下のようになります。

商品撮影の撮影風景

商品撮影の撮影風景

ご覧の通り、商品写真の最大のポイントは「光」をコントロールすることにあります。
ご覧いただきたいのは、カメラから見て半逆光の照明を使用しているところです。

ディフューザー幕を張ったフレームを天井から吊り下げ、商品に覆い被さるようにセットします。
その裏側から商品に光が入るようにセットしますと、斜め後ろからの半逆光の照明となります。
この照明を調節し商品にほどよい光沢や立体感を出します。

上の写真にさらに立体的で柔らかいニュアンスを出すため、少し陰影を残すようにしました。
下地を光沢の白アクリル板に変更し雰囲気のある、きれいな仕上がりになりました。

下地を光沢の白アクリル板に変更し雰囲気のある、きれいな仕上がりに

3,商品撮影のポイント「背景」を演出

次に、ネットショップの商品撮影では、見た人に商品の魅力を強く印象づけるためのイメージ写真が必要です。
そのため、先ほどのような白背景では無く様々な素材や小物で「背景」を演出します。

ネットショップのトップのスライドショーやバナーの背景などに使用する事もできます。
今回の商品の特徴は、貝殻を使用した南国の雰囲気でしたので、
大理石のボードを下地に使用してココナッツの殻をアクセントに配置しイメージ撮影をいたしました。

大理石のボードを下地に使用してココナッツの殻をアクセントに配置しイメージ撮影

大理石のボードを下地に使用してココナッツの殻をアクセントに配置しイメージ撮影

大理石のボードに斜め後ろからの照明が反射しほどよい透明感やドラマ性を演出できます。
彩度を少し強く調整し、濃厚で高級な雰囲気になりました。
このようなイメージ写真がネットショップでの商品を魅力的に演出します。

以下が商品撮影の様子です。

商品撮影の様子

商品撮影の様子

4,商品撮影のポイント「シチュエーション」を作る

次は、商品が使用されている様子の「シチュエーション」を写すことをお勧めいたします。
商品の使用している風景を表現するような商品撮影です。
ネットショップでは、お客様は現品を手に取ってみることができませんので、ネックレスなどのアクセサリー以外でも使用しているシチュエーションの写真は大変重要です。

この撮影は、実際に人物の首にかけるとより効果的な写真になりますが、今回はトルソを使用して撮影しました。
ここでは、照明方法を変えた2カットの写真をご覧いただきます。
1カット目は撮影台のサイドのディフューザーを天井から降ろし、光の質を柔らかくコントロールした写真。

2カット目はディフューザー幕を使用せずダイレクトに照明した写真です。
それぞれの撮影風景と共に違いを比較してみてください。
まずは、ディフューザー幕を使用した商品撮影です。

ディフーザー幕を使用した商品撮影

ディフーザー幕を使用した商品撮影

次にディフューザー幕を使用せず、ダイレクトに照明した商品撮影です。

ディフーザー幕を使用せず、ダイレクトに照明した商品撮影

ディフーザー幕を使用せず、ダイレクトに照明した商品撮影

照明の方法を変えることで違った印象になることをご覧いただけたかと思います。

ダイレクトに照明しますと、南国の明るい太陽の中でネックレスをしている、といったシチュエーションを想像することができます。

5,まとめ

いかがでしょうか。
今回は、ネットショップ用の商品撮影の現場をご紹介いたしましたが、ポイントをまとめますと、

 

  • 「光」をうまくコントロールする。
  • 「背景」を工夫する。
  • 「シチュエーション」を作る

 

といったことが重要になります。
プロのスタジオのように大がかりな機材や道具を設備するのはなかなか難しいと思いますが、商品カタログやパンフレットなどの紙媒体とちがい、ネットショップやホームページの写真はすぐに変更できますので、よりよいイメージを目指して商品撮影にトライしてみましょう。

ご不明な点やご質問などがございましたらご遠慮なくご連絡ください。
これからも商品写真どっとコムをよろしくお願い申し上げます。